債券?債権? ~いまさら聞けないシリーズ~

金融のいろは

こんにちは、rt523mです^^

 

皆さん、「債券」と「債権」の違いわかりますか?

どちらも”サイケン”と読みますが、仕事とかでも間違って使われているのを見かけたりします。
(単なる誤変換の時もあるけど)

違いはわかるけど、「債券」ってなに?国債(国際じゃないよ)と社債は?公社債とかは?

最近、日銀の金融政策が話題になったり、金利があがったら債券価格が下がるとか言っているけど、なんでだっけ?という疑問をまとめてみました。

 

「債券」と「債権」の違いは?

なんとな~くわかるんだけどね。

それだとちょっと困りますので、簡単に解説していきます。

債券とは?

-「債券」:企業や国の借金を証明する証書。いわゆる、借用書です。もう少しちゃんと言うと有価証券、ということになります。

国が発行したものであれば、国債です。例えば、日本国債、米国債など。

企業が発行したものであれば、社債です。

種類も利子が付く”利付債”や利子はないけどあらかじめ利子相当分を差し引いた価格で発行される”割引債”などがあります。

「額面100円、期間1年、金利5%」の債券を購入するケース

<利付債> 発行時に100円を支払い、満期に105円が返ってくる。(=100×1.05)

<割引債> 発行時に95.24円を支払い、満期に100円が返ってくる。(=95.24×1.05)

 

国が発行する国債は比較的安全な投資資産と言われています。

日本とかアメリカが債務不履行(利払いや満期時にお金を払えないこと)するとは思わないですよね?

でも、過去にはアルゼンチンなどはデフォルト宣言をしています。”ギリシャ危機”という言葉を聞いたことある方もいるんじゃないでしょうか。

 

ちなみに、日本はどのくらい借金をしているか知っていますか?

なんと2023年3月には1,029兆円に上ると見込まれています。まさに大迫状態。半端ないって♪

1,029兆円を日本の総人口1億2484万人(2022年12月概算値)で割ると、、、

一人あたり824万円です!   生きるのって大変ね

 

でも、国債の発行残高だけを見ても本当はよくわかりません。

だって、皆さんも借金が1,000万円あるAさんと1億円あるBさんを見ても、その人の収入がわからないと何とも言えないですよね。

借金1,000万円あります。

でも、収入は300万円です。

借金1億円あります。

でも、株式配当や不動産賃貸などを合わせると収入は5億円です。

 

そこでよく使われる指標が”債務残高の対GDP比”です。

GDPはGross Domestic Productの略で、国内総生産と訳されます。簡単に言うと国内で生産された財・サービスの合計で、いわゆる国の経済活動を表します。

財務省のウェブサイトによると日本の債務残高の対GDP比は262.5%です。

つまり、GDPの2.6倍もあるんです。 日本の財政の状況 財務省 (mof.go.jp)

ちなみに、アメリカは125.6%、ドイツは70.9%となっており、日本がダントツです!

それだけ、日本は借金が多い国、ということです。

 

この借金は何に使われているのか?

有意義に使われて私たちの生活は豊かになっているのか?

ちゃんと借金を返せるのか?

そもそも1,029兆円もの国債を誰が投資しているのか?
などの疑問はまたゆっくり記事にしたいと思います。

 

債権とは?

一方、”債権”について見ていきましょう。

-「債権」:相手に対して金銭など何らかの支払い(あるいは給付)などを請求することができる権利です。対義語は”債務”です。どちらかというと金融や法律関連の話題でよく耳にしますね。

”債務”の方がわかりやすいですよね。”過剰債務”とか、お金を借りている状態をイメージしやすいですよね。そうです、借金をしている人が債務者です。

その反対です。つまり、お金を貸している人が債権者です。銀行だったり、街金だったり。

”債権放棄”っというのは貸しているお金を放棄して、ゼロにしてあげるということですね。これはお金を貸しているから”放棄”できるのであって、お金を借りている人が、”債務放棄だ!”っというのはダメですよ!(”債務免除”してください、っということはあるかも。)

”債権回収”という言葉も聞いたりしますよね。でもなんか怖い。借金取り立てみたい!?

 

では英語ではなんというのでしょう。

”債券”はbond、”債権”はcredit。 ずいぶんと区別がつけやすいですね。

でもこれまた困ったことにcreditの意味がたくさんあって・・・。

”債権” → credit、はまぁまぁそんなもんか、となりますが、creditを和訳すると、、、。

その時々に応じて、「債権」だったり、「信用」だったり、(人の)「名声」とか(功績に対する)「称賛」だったり、(銀行などによる)「与信」とか「信用取引」や(デビットカードではなく)「クレジットカード」だったり、(簿記の)貸方・貸勘定、(大学の)単位だったりと・・・。

英語圏の人も違った苦労がありそう。

 

金利と債券の関係性

では、”債券”の相方としてよく一緒に報じられたりする金利との関係性を暴いてみましょう。

まずは、金利が変動すると債券にどのような影響があるのか考えてみましょう。

金利が上昇すると債券価格は下落します。

反対に金利が低下すると債券価格は上昇します。まさに逆の動きをします。シーソーのように。

それはなぜか。

例えば、先ほどの「額面100円、期間1年、金利5%」を買ったとします。

その後、金利が6%になったら、みんな「額面100円、期間1年、金利%」の債券を買いますよね。だから先ほど買った債券の値段は下がってしまいます。(だって金利6%の債券があるのに、5%の債券を買いたくないですよね?)

さらに金利が上がって10%になったら、さらに先ほど買った債券の値段は下がってしまいます。

逆に金利が3%に低下したら、先ほど買った5%の債券は魅力的ですよね?だからみんな欲しがります。よって、その債券価格は上昇します。

 

もう少し解説すると、「額面100円、期間1年、金利5%」は1年後の満期に元本100円と利子5円がもらえましたね。では、この債券を買った瞬間に金利が6%に上がったとしたら、同じく1年後に105円となるような額面はいくらでしょう?

(額面 × (1+金利)^年数) = 105円ですから、

額面 = 105円 ÷ (1.06)の1乗 = 99.0566037735849

 

答えは99.06円です。つまり金利が1%上昇したので、99.06の額面で発行しないとみんな買ってくれないということです。

もし10%になったら、、、95.45円です。

さらに額面が下がりましたね。債券は借金を証明する有価証券でしたね。金利が上がると少ない金額しか借りられなくなるということです。

反対に金利が3%に下落したら?

何と101.94円で発行しても、金利が低いので利子が3.06円となり、1年後には105円となります。

 

額面 金利 満期時 うち利子
100.00 5% 105 5.00
99.06 6% 105 5.94
95.45 10% 105 9.55
101.94 3% 105 3.06

少ない利子で済みそうです。なんかお得ですね。

そうです!金利が低いときにお金を借りるとお得です。

 

ここまでは、金利が動いたら?という観点で見てきましたが、債券価格が動いても同じように考えればOKです。

例えば、日本の債務対GDP比がメッチャ高いから投資家が、”ん?日本はお金返してくれるのか?もっと高い金利じゃないと貸したくない。”と思い始めたらどうなるでしょう。

ん?日本はお金返してくれるのか?

もっと高い金利じゃないと貸したくない。

その場合、1%の金利しか付かないなら買わない、あるいは売るという行動に出るでしょう。みんながそうすると債券価格は下がっていきますね。需要と供給の関係です。

 

そうすると金利は上がっていきます。どこまで上がるのか?というと、どこまで投資家が債券を売るか、つまり、どこまで債券価格が下落していくか、どのくらい安い値段じゃないと投資家が買ってくれないか、ということによります。

結果、需要と供給がマッチするところまで債券価格は落ちていっちゃいます。

これが良く、あおり(?)報道される”日本の国債は暴落するのか?”的なヤツです。

 

日銀の金融政策とは?

日銀の金融政策が金利にどのように影響しているのでしょうか。

日本銀行は日本の中央銀行です。この日銀は2016年9月に導入した金融緩和策の1つがYCCです。

イールド・カーブ・コントロール(Yield Curve Control)といって、長期金利の誘導水準をゼロに設定したり、変動幅を±0.25%程度にしたりして、その金利水準になるまで国債の買い入れを行うことをしております。

だから、誰が何をしようとも、投資家がこぞって国債を売って(金利を上げようとしても)日銀がぜ~んぶ買うから金利は上がらないのです。超低金利状態です。

それが、2022年12月に長期金利の変動幅を±0.5%に拡大させたのです。

そうすると、国債の利回りも上昇しました。(債券価格は下落)

金利が上がり、日米金利差が縮小したので、ドル円の為替レートも円高に振れました。

更に預金者からお金を預かって、企業にお金を貸している銀行セクターの株価は、利ザヤ拡大を期待して上昇しました。

金利だけでいろんなところに影響するんですね。

金利って意外と重要なのね。

そうです、景気を大きく左右する一つの要素です。

それによって国民の生活も、より豊かにできます。

 

 

もし日銀が2023年にさらに長期金利の変動幅を±0.75%とか±1%とかに拡大するとそれに応じて金利が上昇していきます。日銀はそのように金利をコントロールしながら、金融・経済を良くしようとしてくれています。

但し、忘れてはいけないのが国債残高1,029兆円です。金利が上がるとその分、利子も増えます既に発行されている国債が満期を迎えるとお金を返す必要がありますが、払えないと困るので国(財務省)はまた国債を発行します。その際に金利が上昇していると、利子負担が増えます。

いわゆる、借金漬け状態。 財政健全化が望まれます。^^

 

債券とか株式どっちがリスク高いの?

結論から言うと圧倒的に株式の方がリスクが高いです。その分、リターンもありますが。

いわゆる株式はハイリスク・ハイリターン。債券は株式に比べるとローリスク・ローリターンです。

でも、株式と一言にいっても、未上場株式(PEとか)とか、上場株式でも先進国株式や新興国株式などいろいろありますよね。

債券も国債もあれば、ハイイールド債やジャンク債などいろいろあります。

どれに投資するかによって、リスクもリターンも違いますが、ここではわかりやすい代表的なものを使って比較してみましょう。

株式と債券の値動きを1つのチャートに重ねて載せてみると、変動幅の大小がわかりやすいと思います。

 

株式 vs 債券 ~指数化比較編~ 

 

まず、日本の10年物国債の利回りと日経平均を指数化(スタートを100としたもの)した10年間の推移です。

(出所:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA (sbisec.co.jp)

(青い線が途切れているのはマイナス域に突っ込んじゃっている時期です)

日本国債10年は直近で50くらいですから、約半分になってますね。マイナス50%という感じです。

一方、日経平均は225くらいでしょうか。プラス225%というところです。

 

次も同じく日本の10年物国債の利回りと日経平均を指数化した5年間の推移です。

(出所:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA (sbisec.co.jp)

なんと、日経平均はちょこっと上がっただけなのに対して、日本国債は約4倍になっています。

国債の方が変動幅が大きいからリスクが大きいんじゃないの?

 

ということは、株式より債券の方がリスクが大きいのでは?っと思うかもしれませんが、こういうことはよくあります。これは単に期間が短いからです。

短い期間の、しかも本来のリスクリターンが高い株式とそれより低い債券の動きが現れていないのです。

検証にはもーっと長い期間、30年とか50年とかを見ないといけないですね。

 

 

最後に米国の10年物国債とS&P500の値動きです。

(出所:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA (sbisec.co.jp)

こちらも期間は10年です。

米国国債は180くらいでしょうか。つまり1.8倍ですね。

S&P500は260あたりでしょうか。2.6倍になってますね。

 

それでは、まとめです。

 

期間10年で見ると日本もアメリカも国債より株式市場の方が上昇していますね。

でも、期間5年だと日経平均が日本国債に負けてます。

なんとも中途半端な結果ですね。

 

 

ここでお断りです。

上記では最初と最後の数値だけを見て、上がった!下がった!と言っていますが、本来は日々(または週次、月次など)のデータを使って上下に動いた変動幅を検証したいのですが、手元にそのようなデータがありませんでした。

例えば、3つ目の米国国債(青い線)を見てください。

2020年~2021年のところで大きく下がってますよね。50を下回っています。そこから180近辺にまで上がっていますから、実に3.6倍です。

これも先ほどの「計測期間が短い」と正しく検証できないのと同じように、統計的にはもっと期間中の動きも考慮して正確に検証しないといけないところですが、そこはご容赦ください。

でも、なんとなく、感覚的に「債券 < 株式」となっていて株式の方が大きく動く、つまりリスクがありそう、というのが伝わりましたでしょうか。

 

株式 vs 債権 ~インデックス投信編~

次に、投資信託の基準価額がどのように推移したかを比較してみましょう。

比較したのはこの2つです。

ー 先進国株式インデックス vs 先進国債券インデックス

ー 国内株式(日経平均) vs 国内債券インデックス

 

まずは、先進国株式と先進国債券の比較です。

2009年10月からの約13年で先進国株式インデックスは4.3倍、年利はなんと25%でした。

一方、先進国債券インデックスは1.4倍、年利は3.1%とかわいい感じでした。

ちなみに、年利25% =(431.6% ー 100%) ÷ (4,832日 ÷ 365)
他も同じ要領で計算しています。

グラフを見るとわかりやすいですね。

先進国株式インデックス(赤い線)はグッと伸びているのに、先進国債券インデックス(青い線)はほぼ横ばいという感じですね。

(出所:比較チャート | eMAXIS (emaxis.jp)

(見にくくてゴメンナサイ。ピンチアウトしてご覧ください。)

 

次に、国内株式インデックスと国内債券インデックスです。

こちらも期間は同じです。2009年10月からの約13年で、国内株式は3倍、年利15.8%でしたが、国内債券はほぼ変わらずの年利0.6%でした。

こちらも同じく、国内株式インデックス(赤い線)はしっかりと右肩上がりですね。

一方、先進国債券インデックスと同じように国内債券インデックス(青い線)はほぼ横ばいという感じですね。

(出所:比較チャート | eMAXIS (emaxis.jp)

(見にくくてゴメンナサイ。ピンチアウトしてご覧ください。)

 

表にするとこんな感じです。

  直近値 基準日 最終日 年数 年利
先進国株式 431.6 2009/10/28 2023/1/20 13.2 25.0%
先進国債券 140.7 2009/10/28 2023/1/20 13.2 3.1%
日経225 309.7 2009/10/28 2023/1/20 13.2 15.8%
国内債券 107.9 2009/10/28 2023/1/20 13.2 0.6%

(年利25% =(431.6% ー 100%) ÷ (4,832日 ÷ 365))

こちらは見事に株式が債券に勝ってますね。いわゆる、アウトパフォームしているってやつですね。その分、リスクも大きいということですけど。

 

ここで、これまたお断りです。

これは投資信託の基準価額の値動きですので、本来のインデックスの値動きとは異なります。

税金や信託報酬などを考慮すしていませんので、あくまでも参考程度にご覧ください。

 

もしインデックス投信などでこれと違う結果が出たという方がいらっしゃったら是非、コメントください。

 

債券運用のおすすめは?

結論はズバリ、先進国債券ファンドですね。

様々な国の国債に分散投資しているようなファンドが安定的なのではないかと思います。

例えば、FTSE世界国債インデックスとかですかね。

 

”債券運用”といっても、様々な債券があります。

いろいろな国が発行している国債、様々な企業が発行している社債、低格付け企業が発行しているハイイールド債(信用力が低いため借入金利が高く、その分、投資家にとっては利回りが高い、いわゆるhigh yieldの債券)、さらに格付けが低く投機的格付債券とされるジャンク債など。

一般的に、リスクは「債券 < 株式」ですが、モノによっては株式の方が良い場合もあります。例えば、トヨタの株式 vs アメリカのハイレバ企業のジャンク債。

これも投資家のリスク許容度によりますが。

 

株式とはまた一味違った金利とキャッシュフローの世界も趣があります。

是非、色々と参考にしてみてください。

 

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